こんにちは さようなら

処暑を過ぎても 酷暑
朝からジージーと庭が騒がしい
昼前に家を出ると
車庫前のコンクリに ひっくり返った キミ
さっきまで コラッ黙れ と毒づいていた私は
途端に 仏になる

足が宙を蹴っている キミ
ほおっておいたら 次に通る車で 煎餅だ
っと思った時に 一台通ってヒヤッとする
事故の瞬間には できれば立ち会いたくない

それに 間もなく 終わる命なら
せめて土の上で。。。

せめて畳の上で みたいな気持ち
。。。

差し出した紙袋の底につかまるが 落下
ちょっとだけ躊躇して
仕方なく 指をホラッとお腹に当てると
ヨロヨロと 掴んできた

鮮やかなエメラルドの顔と腹
久しぶりに 至近距離で キミを見たよ
目が合った気がした

ごめん 私 駅へ急ぐところなの

一度掴んだからには と必死なキミに
何とか 隣家の 紫陽花の葉っぱに移ってもらい
お役目 御免

もうひと鳴き できたかな
っと気になりながら 車上のヒト

夏が無かった私の 今夏の思い出が
今日の キミになるかもねぇ

精一杯夏を謳歌したキミが
チョット羨ましい気がした

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