『声をかけられまして』

事務所から横断歩道ひとつ渡った先に　郵便ポストがある

信号が青になるかならないかのうちに
スキップで駆け出して　封書を投函し
もと来た道を　今の青信号のうちに渡ろうと考えていた

「いいねえオネエちゃん、かっこいい！」
振り返ると
買い物ビニールを左手に　お財布を右手にした　おばちゃん

これがステージ上なら　大見得一つ切ってお返し　というとこだが
あいにく　Tシャツにヨガパンツ
さらに　足元は事務所内用ピンクのビニールスリッパだ

ん？？？　「私？」と指をさす
うんうん
「スッと背筋が伸びて、シャッシャッと歩いて！若いねェ！」
と江戸っ子口調で褒められた

「ど、どうも。。。」あいまいに頷きながら
すでに背中になっているおばちゃんを見送った


あゞ　信号逃したぁ〜　と上を向くと

雲一つない青空が　総武線の　緑色の陸橋を　
いつもよりきれいな　みどりに彩っていた

この　青空のせい。。。　かな

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